李登輝前総統訪問(於・台湾総合研究院 2000.8.9.)



『台湾の主張(日本語版)』に署名する李前総統と小林弘二関西大学教授



左から、羅台湾総合研究院董事長、堀和生京都大学教授、李登輝前総統、小林弘二関西大学教授、佐々木信大阪市大教授、そして、私

李登輝前総統インタビューメモ

★ 自分について

 「政治は専門ではない」→「学者」としての自ら

★ 韓国と台湾の違い

 金融危機の影響少 − 為替のみ(完全フロート制による)
この違いは
 短期資本への依存度の相違
今日の台湾における
 輸出入の好調 − 海外からの借入は200億程度
また、
 外資への自由化について − 100%は行っていない、徐々に進める
今日の問題は、石油化学工業等の古い産業にある

★ 国営事業民営化について

 1985〜6年頃始める − 輸入超過を減少させるため

★ 様々な産業について

○「コントローラー」の重要性
− その障害としての、台湾企業の販売網不足+台湾国内市場の小ささ
→ PCをコントローラーに転換して市場を奪うことの必要
○LCD、ブラウン管 − 世界のトップに質量とも追いつく
→ 現在はこのようなパーツ部門における発達が重要
ここにおける問題
 どのようにしてこれら産業を活性化させるか
→ 従業員へのストック・オプションによるインセンティブ

★ 経済の国際化について

○台湾の障害としての、「保護」イメージ
→ これを如何にして払拭するかが重要
この為の、国営・党営企業改革の必要
そもそも、従来の両者の住み分け
 国営企業 − 旧日本企業を接収して出現
 党営企業 − 民間の「できないもの」を担当
→ これらは民間部門と絡み合った複雑な経済システムを構成
これに対する李登輝時代の党営事業改革
 その最大の原因としての、巨大化した党営企業の存在の結果として現れる「経済的不公平感」の払拭
→ 自分はこれを「信託化」するところまで行った
他方、国営企業
   台湾製糖 − 「地主」として開発に従事
   中国鋼鉄 − 個人のものを取り上げる形で国営化
さて、このような国営企業の独占
 人民の「経済的自由」を実現することにより、民主化を齎すことの妨げとなる
→ 国営で残しても民間の自由参入を保障する必要
個々の国営企業については
 中国石油 − 国営で残す
 台湾電力 − 民間の自由参入を実現させるべきだが、初期投資等の関係で困難も

★ 自らの関心

 本来の問題意識としての「労働余剰」を如何にして解決するか
「毛沢東の農民革命には共感した」
→ 自らの本来の専門である農業問題
ここでの質問(堀)
 「台湾農業は将来生き残ってゆけるのか?」
これに対する解答
 1966年頃の急速な農業労働力減少 → これを政府による「絞りすぎ」と考える
その為に自らが農務長官時代に打ち出した
 「農村家族建設」計画
そもそも、
 80年代に入り台湾では食糧難は最終的に解決 → これに伴い農村が変化する必要
1)米から野菜、肉類へ
2)他産業とのリンク(観光農園等)
3)流通改革
また、
 将来においては安価な大陸農産物の流入も予想されるが、その場合には、農村はこの農産物を加工する加工基地になればよい
いずれにしても、
 農村も、その特性を生かしつつ、付加価値の高い、観光業・製造業へとシフトしてゆく必要あり
また、もう一つの問題としての、
 農村の高齢化 − 規制緩和等による「魅力ある農村」の建築必要
→ このための公共事業、税制改革も必要

★ 再び民営化と将来の台湾産業について

 現在のインターネット → 携帯電話等の「使いやすい」端末にとって代わられる
当然このためには、機器の小型化が必要
→ ここにおいて問題となるのはシリコンの発熱 → シリコンは他にとって代わられる
これを解決するための
 人間神経の研究の結果としての、新たなる処理システムの必要

★ 国家の発展について

 このような人間の「心」の優秀性 → 国家が発展するためにこれこその発展が必要
→ 台湾人にとってこの「心」の発展の妨げとなるIdentity問題
ここにおいて重要なことは、人々の「心」の中のバランス
 産業 − 教育
 伝統 − 進歩
 心  − 物質
 公  − 個人
この面においては、
 日本は大きな問題を抱えている − 戦後における過去の否定による歴史観の創設
→ 台湾同様、日本も新たな自らの歴史観を構築する必要がある
重要なことは、
 何もそこにおいては昔のものをそのまま使う必要はない、こと
→ 「国」という「場」の持つ意味を考えなければならない

★ 京都大学当時について

 復員後の苦難の中での教育への努力に感歎
→ この中で「如何にして立ち上がるか」を学ぶ
また、当時におけるエピソードとしての
 野坂参三講演 − 当時の自らは毛沢東の農民革命に親近感を覚えていた
そもそも
 自分は自分の実家も家内の実家も地主
− 共産主義全盛の中で、物質か神かのディレンマに悩む
→ 今はどちらも必要であると考える

★ 李登輝時代について

 体制の「中」での試行錯誤
→ そこで実感したアジアにおける日本のリーダーシップの必要
ブッシュJr.が言うように、
 中国は競争的パートナーにしかならないことを日本は知るべき
→ 中国が真に世界の一員になるためには、その歴史観を変える必要がある
また、
 自分が改革を行えたのは、自分は信仰心を有しており、全てに楽観的な人間だから

最後に
 今後は5〜6年掛けて「李登輝時代」史を作り上げてゆくつもりである


 なお、本インタビューの詳細については、Kan_Kimura@yahoo.comまでお尋ねください。無断引用は厳禁させていただきます。


Kan Kimura's Homepage, Japanese Editionへ

inserted by FC2 system